慶応義塾の小中一貫校(1学年120人)が11年春、横浜市青葉区に開校します。しかし校舎の建設も始まっていないのですが、初入試は来年秋に。「お受験界」のトップブランド校の進出に、小学校の受験塾は早くも白熱し始めています。
ある教室では、2年間かけて受験に臨むカリキュラムを組んでいたのですが、慶応を目指す父母の要望を受け、半年早く始める特別コースを新設しました。
教室代表は「じっくり時間をかけ、感性と思考力を育む」として「8、9割の生徒が慶応を受験する」と予想しています。7月には、慶応の創立者・福沢諭吉の考えを学ぶ勉強会も開くそうです。
ほかの受験塾も、東急田園都市線沿線に新教室を開校したり、既存教室に慶応向けコースを設けたり、様々な対策を打ち出してきました。ただ、入試の内容が明らかになっていないため、「授業は手探り状態」と講師の一人は話していました。
不況でも慶応人気に陰りは見えません。幼稚舎(東京都渋谷区、定員144人)の09年度の倍率は男子14倍、女子22倍でした。
入学金や学費で初年度だけで150万円以上かかるが、子どもを受験塾に通わせる母親たちからは「家や土地より、教育を子どもに残したい」「人生には環境が大事。学内の人脈が魅力」といった言葉が次々と飛び出しています。
青葉区に新しい学校ができれば、幼稚舎とあわせ、慶応を2回受験できるチャンスが生まれる。のです長男が今秋、幼稚舎を受験する東京都世田谷区の30代女性は「開校があと1年早かったら、長男も受験できたのですが」と残念がっていました。
一方、周囲の私学は戦々恐々としています。私立捜真小学校長で県私立小学校協会の理事長は「内心、心配している校長は多い」と話します。
神奈川県内の私学受験者は約4400人。試験日程次第で、その受験者が慶応に流れる懸念が...都内では幼稚舎の合格発表が遅いため、合格者が他校入学を辞退する玉突き現象が生じ、県内でも同じことが起きる可能性があります。
これに対し、大手受験塾幼児教育研究所の理事は、慶応進出は他の私学も歓迎すべきだと話します。「最初は慶応だけ考えて勉強を始めても、いざ受験になった時、それまでの努力を考えて、ほかの私学も受ける。だから間違いなく受験者数は増えます」と分析していました。
[2009年6月23日]