小学校受験に熱心な父親、教育方法に過剰な熱意?
小学校受験をはじめとするお受験に熱心な父親が、最近増えている。男親向けの教育雑誌も創刊され、売上げが伸びている時代である。「お受験」と言えば母親の領分であり、「教育ママ」あるいは「わが子で自己実現するママ」のイメージが強かったはずだが、最近は、父親の方が熱心な家庭も少なくない。
小学校受験に熱心なお受験ママはリッチな主婦という傾向があったが、お受験に熱心な父親の特徴は、勝ち組ということ。仕事で勝ち続けてきたそのビジネス力を、自分の子どもの教育にも活かしてやってみようと試みる人も多い。
確かに、子どもの教育は一大プロジェクトである。しかも、3歳で幼稚園受験、6歳で小学校受験と、タイム・スケジュールもキッチリしているし、有名大学入学と目標設定も明確だ。子どもの教育は我が社の経営戦略の設定とその実行と同じではないかと、考える父親がいても不思議はない。
しかし、父親はここで、重大な間違いを犯しやすい。企業に勤める社員は選ぶことができるが、子どもを選ぶことはできない。入社試験のないまま、すとんと生まれてくるのが子どもだ。両親の遺伝子を継いでいながら、頭脳のできが悪いからといって解雇などできるわけもない。
小学校受験やお受験に熱心な父親は、緻密なマネジメントで子どもを教育しようとするが、子どもとは本来、勝手に生きるものである。才能もキャラクターも生まれたときからある程度決まっていて、環境によって伸びるものだ。
父親が設定したビジネス的課題をこなすことのできる子どもはいいが、それが無理な場合や、子どものキャラクターに合わない場合は、家庭の雰囲気がギクシャクすることもある。
そもそも子どもというのは、小学校の低学年くらいまでは親の言うことを無条件に信じ込んでしまうので、親が、ここの幼稚園が最高だと言えば、子どもも、そうか最高だ! と思い込む。しかし、自我の芽生えとともに親の言葉に疑問を持ち始める。それも成長ということだ。
だから、お受験パパも、子どもが将来、思わぬ方向に走ってしまっても落胆しないよう、心の準備をしておいた方がいい。そして、父親として最も重要な教育とは、生き方を伝えるということだと知ってほしい。
生き方とは大仰なものではなく、卑怯なことはしないとか、友達には思いやりを持って接する、野に咲く草花は美しいねと感じる心、そんなことの積み重ねだ。そして、日本に生まれてよかったという感謝の念を育てる。感謝の念を持った子どもは、どんな困難にぶつかっても、人としてまっすぐと育つのだから。
[2008年12月6日]
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